THINKING MEGANE

理性の人

思えばこの一年半は自分の感情に振り回された期間だった. エンジニアとして新しい道が見えながらも,そこに近づけない不甲斐なさと焦り. 自己肯定感が著しく下がったために価値基準がだんだんと外部へ移り,余計に道を見失う. 局所的には努力しているけれども,不安解消や短期的な承認に囚われて殻にこもりがちになる. 愚痴や相談で一時的に心は軽くなれどもいつのまにか焦りが高まる.

いい加減,自分との向き合い方について考えなければならない時期だと思った.


幸いにもここ最近,何人かの自分の尊敬する人とまとまった時間話す機会があり,自分との考え方の違いなどを意識して比較してみた. 元から,皆一様に論理的で理路整然と自他の意見の要点や本質を掴んだ議論ができる能力の面で見習いたいと感じていたのだが, 最も自分と違っていたのは,客観性をもって自分がなすべきことを検討し続け,そこに向けて邁進している点だと思えた.

すなわち,彼らは理性的であった. 理性とは,手元の辞書によると「感情に動かされたりしないで,論理的に考えをまとめたり物事を判断したりする頭の働き」とある.

自分も感情に振り回されないようになれば,先に進めるのかと思いつつも,思考から感情を分離することはとても難しいことではないかと思えた. なぜなら自分は極度の負けず嫌いである.自分にも他人にも負けたくないというのが心根にある.勝っていたり承認されている状態というのは素直に嬉しいし,この動機付けが今まで自分を成長させてきたとさえ思っている. しかしながら,この主観的で感情的な動機は上手くいくうちは良いが,失敗すると簡単に歪んでしまうというのもまた事実である. 誰かに勝つため,負けないため,舐められないため,価値を認めてもらうため.往往にしてなすべきことではないものを目指し始める.さらには引け目があるから,それらを貫き通すことも難しくなる.

ただ,このようなことを悶々と考えるうち,自分の中で感情的である状態と理性的である状態というのを区別し現状を俯瞰できるようになってきた. ここで,理性的な人は,感情を抑え込むのではなく,感情とうまく付き合い,感情に動かされないための方法論をそれぞれ持っているのではないかと考えた. 自分の場合,承認欲求は強く自己と結びついてしまっていてこれを無視することはできない.であれば二つの状態があることを認識し,これを行き来するための方法論を見つけることで理性的に振る舞えるようになるのではないか.

理性の人でありたい.

  • 理性の人は,感情を抑え込むのではなく感情に動かされないための方法論を持つ.
  • 理性の人は,論理的になすべきことを定める.
  • 理性の人は,なすべきことを解決するため,己を高める.
  • 理性の人は,なすべきことを解決するため,周りと協力する.

何も感情を無くそうというのではない.自分の性質のため視野が狭くなりがちなことを認めて,目的を客観的に定めたのち,楽しい手段を見つけたい.行動方針における優先順位を明確にしただけである. 結果的に相対的な価値観の世界からも脱却し,より大きなことを成せるのではないかと思う. もちろん,理性の人になるためには多くの努力が必要であり,今後も継続して努力していく.技術力も思考力に対してもやるべきことはたくさんある.ただ,局所的であろうが今までの努力も無駄ではない.うまく活かして一気に花開きたい.

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